タブレット1人一台。これを学校で実現するためには、乗り越えなければならないハードルがたくさんあります。それらのハードルを段階別に示してみました。皆様の学校はどの段階でしょうか。

第一段階 議論
生徒以前に教師がタブレットを持っていない。まずは教師がタブレットを持つべきだという意見が出始める時期。持ちたい派と持ちたくない派で意見が分かれる段階。

第二段階 所有
教師はタブレットを持っているが、文鎮化している。持ちたくて持ったのでなく、持たせられた感がある。どう使ってよいかわからない段階。

第三段階 活用
一部の教師が授業で積極的にタブレットを活用し始める。電子黒板にタブレット画面を表示することの便利さに気づく。デジタル教科書、パワーポイント自作教材、PDF、映像、画像をタブレットに取り込んで授業で活用する先生が各教科で増え始める。

第四段階
生徒用のタブレットを20~40台購入し、移動式ラックに格納。特定の教科で生徒にもタブレットを使わせて学習させようという動きが出始める。用途は主にブラウザを用いた調べ学習、カメラを使った撮影記録。校内Wi-Fiの整備の必要性について議論が起こる段階。

第五段階
とりあえず生徒一人一台タブレットを持たせる。持たせてみたもののどう使わせたらよいか模索。集中管理をどうするかが課題になる段階。

第六段階
生徒一人一台タブレットを持たせ、各教科が先進的な活用法を見出して使わせている段階。

ざっくりとではありますが、このような段階を追ってタブレットが教育現場に普及しているように思います。本校の場合は第3段階、第4段階あたりをウロウロしています。第5段階、6段階に踏み切れない理由は色々ありますが、集約するとコスト・管理問題になります。

では次にコスト問題と管理問題について、どの学校でも起こり得る課題について触れたいと思います。

課題1
生徒用校内WIFI整備に1000万~3000万かかる。ここをクリアできるか。

課題2
校内WIFIを諦めてに3G契約を検討。生徒1人月額3000円。年間36000円。受益者負担としては額が大きすぎる。

課題3
タブレットは保護者に買ってもらいたい。納得してもらうだけのコンテンツやカリキュラムを揃えなければならない。特定の教科だけ使う、では保護者は納得しない。どうしたものか。

課題4
タブレットを誰が集中管理するのか。セキュリティー、フィルター設定、アプリ更新、故障対応、OS更新、教材インストール。教員の手に負える業務ではないのではないかという議論。

課題5
仮に集中管理を全部業者に任せた場合の莫大な維持費は誰が支払うのか。学園?保護者?両方?

課題6
タブレットは数年で古くなるが、中1で買わせて、高3まで使わせるのか。中高一貫校の場合、中1で1回、高1で1回買わせている学校もある。
iPad 5万円×2台を保護者に買ってもらうのは高すぎるのではないか。

上記のような課題が一つひとつ解決されない限り、生徒1人一台タブレット環境はなかなか普及していかないでしょう。

公立の場合はICT教育特区があり、特定の学校に莫大な予算をつぎ込んで、コスト問題をクリアするケースも少しずつ増えているようです。私立もタブレットや教材にスポンサーがついている学校はイケイケモードです。内部の教員は一部疲弊しているようです。何が何でもタブレットを活用した授業を展開するようにというプレッシャーが大きいようです。

教育産業やIT業界にとって、ICT教育はドル箱です。今まで紙の媒体で売っていた教材が、デジタル化されることにより、在庫を抱えなくてよくなります。また、紙の媒体は売り切り型ですが、デジタル教材、特にオンライン学習ソフトは月額費用が発生しますので、継続的収入が見込まれます。このような変化に伴い、お金がかかりすぎることを疑問視する教師や保護者もいます。大切なことは現場とICT教育産業が一体となって、リーズナブルかつ生徒の学習を効果的に支援する方法を模索していくことだと考えます。

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